1997年度の研究を振り返って


情報教育を通して、学びと人権・共生のネットワークづくりを

―――主体的に学び、発信する子どもをめざし―――

1、はじめに

 マルチメディアパソコンの導入を契機に、私たちは、「布小にとっての情報教育」の論議を大切にした。それは、これまで本校が大切にしてきた、『子どもの自学自習力の育成を目指した授業改革』や『地域と結んだ人権総合学習“ぬのしょう、タウン・ワークス”』、『人権を基盤にした共生の地域ネットワークづくり』と情報教育を結び、更に布小の教育を発展させていくという視点を大切にすることであった。そのような論議の中で、次の5つの研究課題を明らかにした。

1、授業改革や人権総合学習“ぬのしょう、タウン・ワークス”を更に発展させるものとして研究・実践を深める。  
2、子どもたちに多様な体験と出会い、多様な情報を通して、広い視野を養い学びと出会いのネットワークづくりを発展  させるものとして研究を進める。
3、子どもたちの主体的な活動(情報活用と発信)を通して、基礎的な学力の向上及びコミュニケーション力等の育成  につながるものとして位置づける。
4、これまでの地域や中学校区をはじめとする同和教育のネットワークを軸に、人権と共生のネットワークづくりを更に  発展させるものとして活用する。
5、教職員の情報リテラシーの向上のための研究・研修の充実を図る。

 ここでは、パソコンが導入された2学期を中心に、子どもたちがどう受け止め、校内でどう取り組みを進めてきたのかを簡単に紹介したい。

2、『布小にパソコンがやってきた』  ――2学期を中心に――

@「子どもとパソコン」アンケートから――――――――

 9月のパソコンが導入され、そのことが子どもたちにどう受け止められ、どう変化させているのかを調査し、今後の取り組みに活かして行くためにアンケートを実施した。時期は、2学期の「パソコンと遊ぼう」月間が終わった12月に、全校児童を対象にし、電子メディアの所有率、パソコンの使用経験、パソコンのイメージ、パソコンの授業のイメージ、パソコンで将来してみたいこと等の項目で実施した。アンケートの分析の要約を次に紹介する。

1、5割の子どもたちがテレビゲームを持ち、ビデオ、テレビの普及率は9割以上。パソコンがある家庭は24%であ
2、パソコンの使用経験は、子どもたちの約半数は何らかの経験をしており、高学年ほど多くなる(7割)。ゲームやお  絵かき等が多く、市内の公共施設や青少年会館の「パソコン教室」で経験しているようである。
3、パソコンに対するイメージは、「楽しい」「やってみたい」という肯定的なイメージが8割近くである。しかし、「むずか  しい」あるいは「めんどうくさい」というようなマイナスのイメージを3〜5割の子どもたちが抱いている。
4、パソコンの授業に対しては、「楽しい」「もっとやりたい」という子どもが8〜9割になる。しかし、「むずかしい」と感じ  ている子どもたちも4〜5割になる。
5、将来のパソコンの活用意欲は、どの学年においても積極的である。パソコンのマルチメディアとしての活用に意欲  がうかがえる。
6、家庭におけるパソコン所有は、中学年の子どもたちでは、パソコンに対するイメージは、家庭にパソコンを持たない  子どもと変わらないが、高学年では、家庭にパソコンがある子どもの方が、パソコンを楽しく・むずかしくない・遊び  道具というイメージが若干強く  なる。将来のパソコンの活用意欲では、ほとんど差がない。
7、中学年では、パソコンの使用経験のある子どもの方がパソコンに対するイメージは、「楽しい」「やってみたい」とい  う肯定的なイメージがより強いようである。高学年では、その差はほとんどない。
8、パソコンの使用経験のある子どもの方が、将来のパソコン活用により意欲的である。

 結果をみると、パソコンの導入の時期は、ゲーム感覚のソフトやお絵かきソフト等から入っていくほうが、子どものパソコンに対する抵抗感を薄め意欲を高めることができるようである。この様な子どもたちの意欲や肯定的なイメージを大切にしながら、むずかしいと感じたり不安を抱いている子どもたちに焦点をあてながら、「楽しい」・「きめの細かな」授業の内容創造が求められているといえる。

A「パソコンと遊ぼう」月間の取り組み―――――――――

●大切にしたこと

 9月末、いよいよパソコンを使った授業が開始された。授業を進めて行くにあたって、2学期を「パソコンと遊ぼう」月間と位置づけ、私たちは次のことを大切にした。

 一つは、子どもたちや教師がパソコンに慣れ親しむ学期にすること。そのために、教科の中でのパソコン活用ではなく、簡単なソフトやゲーム等によりパソコンに慣れ親しみ、その中でパソコンの基本的な名称を知り、キーボードやマウスなどの操作に慣れることをねらいとした。

 二つ目は、子どもも教師も余裕を持って授業を進めること。そのために、各クラス隔週で2時間の時間割とし、1時間程度の指導内容を余裕を持って指導できるようにした。一人ひとりの教師が自信とゆとりを持って授業を進めていけるよう、学年毎にきめ細かな実技研修を実施しながら進めていった。

●指導内容  ・機器の名称・取り扱いの留意点・マウスの操作・キーボードの操作・インターネット体験(校内WEBを含む)
      ・
CD-ROMの活用等         

●指導計画 

第1次 パソコンはこわれないよ 第5次 もぐらたたきゲームの、チャンピオンは?
第2次 パソコンでゲームをしよう 第6次 インターネットで、世界へ
第3次 パソコンで絵を描こう 第7次 CD-ROM を使って、調べてみよう
第4次 パソコンで音楽を楽しもう

B2学期の取り組みを振り返って――――――――

 子ども達は、教師の予想以上に操作を覚えるのが早く、パソコンの授業を楽しみにし、もっとやりたいという意欲が高まってきている。この2学期の「パソコンで遊ぼう」月間の取り組みを振り返ると、いくつかのポイントが明らかになってきている。

 その一つは、子どもの発見や子どもどうしの協力を大切にすること。操作の習得の段階においても、必要最低限のことに絞り込んで指導し、そのことが子どもたちの新しい発見や協力を生み出していった。そのことによって、自分の力で安心して使いこなせそうだなという安心感や、もっとなんかやれそうだなという探求心や期待感を育むことを大切にした。

 二つ目は、パソコンの使い方の学習ではなくパソコンを使って学習する課題設定を大切にすること。例えば「タウンワークス発表会のお父さん・お母さんへの招待状を作ろう」「中央小の仲間にパソコンで書いた絵を送ろう」といった課題を設定することで、その中にお絵かきや簡単な文字入力を位置づけた。また、1年生では、「5・6年生に遊びを教えてもらおう」の取り組み中で、5・6年生とのメール交換によって人気の遊びを教えてもらうことも行った。このようなことによって、子ども達が目的意識を持ち、自ら進んで意欲的に学習に取り組み、パソコンっておもしろい・役に立つ道具なんだなという有意感を育てることを大切にした。

―――1年生と5年生の交換メール―――

こんにちは

わたしたちは、1ねん1くみの27人です。

あなたのクラスでは、どんなあそびがはやっていますか。

みなさんは、どんなあそびがすきですか。

おしえてください。

おへんじは、このパソコンにおくってください。

よろしくおねがいします。

11月10日

お手紙ありがとうございました。クラスみんなで手紙を読みました。

今クラスではやっている遊びは、ゴムとび、ドッチボールなどがはやっています。

またお返事をください。

5ねん1くみのみんなより

三つ目は、絵などの作品を印刷し展示する等を通して、子どもたちに達成感や成就感を持たせることを大切にすること。

―――子ども達の感想から―――

今日、パソコンをした。パソコンでマウスを使ったのは、はじめてだった。とてもどきどきしたし、とてもおもしろそうだった。私といっしょにやった友達が、楽しそうに絵を描いていたので、私も早く描きたくなった。それで、むずむずしてきた。でもちゃんとやれてよかった。とってもおもしろかった。

 

 パソコンをしてとてもおもしろかった。まるやスプレー、線やスタンプ、拡大もした。印刷したものを見て、よくできたなあと自分でも思った。マウスで絵をたくさん描けた。スタンプもおもしろくていっぱい押した。今度やるときは、もっとおもしろいのをずっとやってみたい。

3、おわりに ―――これからの課題にかえて―――

 2学期より始まったばかりの情報教育であるが、中学校のネットワークづくりを基盤に更に発展させていきたいと考えている。それは、情報教育を通した、人権を基盤にした学びと共生のネットワークづくりである。そのための3つの課題は、

●情報教育の年間カリキュラムの作成と重点化

 『子どもの多様な学びと発信を』をキーワードに、情報教育の年間カリキュラムの柱を2つ設定した。一つは、人権総合学習“ぬのしょう、タウン・ワークス”と結ぶこと。それは、出会いと感動の多様な人権課題の学習に、子どもたちの調べ学習や、ネットワークづくり(交流活動)、取り組みを発信する多様な活動を組み入れること。

 二つ目は、教科等の学習と結ぶこと。調べ学習や発信・交流などの多様な学習活動を、教科等の学習の中に位置づけていくこと。

 これらのことを基本にして、各学期で重点化して取り組むことが求められている。

 例えば、3学期の3年生では、「布小の歴史」の実践を行った。それは、125年の歴史を写真と様々な年代の方からの聞き取りのビデオ画像や音をプレゼンテーションソフトにまとめていき、研究授業の中では、子どもたちが自分たちの作品をプレゼンテーションし、その後学習アシスタントの方から聞き取りをしていった。このような、地域の方とのネットワークを活かし、マルチメディアパソコンを活用した実践を積み上げていきたい。

●中学校区の情報教育のネットワークづくり

 これまでの三中校区の小・中連携による同和教育のネットワークを基盤にして、三校の情報教育のネットワークづくりが始まった。
両小学校の導入時期の授業公開や三校合同授業研での研究授業等を通して、中学校区での情報教育の実践の方向性を論議してきた。また、子ども達がパソコンで描いた絵を交換し合ったり、テレビ会議システムを通した小中合同授業を実施するなど、児童・生徒間交流が活発になってきている。また、三校共同製作のホームページ『中学校区のネットワーク“新しい世紀・地域・夢”』を作成し、発信する準備を進めている。

●柔軟な教職員の研修

 1学期と夏休みは、情報教育の研修と基礎的な実技研修を校内全体で実施してきた。2学期に導入されてからは、全体の実技研修は必要最小限に絞り、授業に向けての研修は、きめ細かく・臨機応変に実施できる学年実技研修を充実させてきた。学年毎の指導案を基に授業でどう活用するのか、子どもへの支援はどうするのか、きめ細かい研修、基本は一人ひとりの教師が、授業実践に自信とゆとりを持って臨むことを大切にすることである。

(1998/2/25)


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