2009年7月29日  13:00〜16:00
 泉南市教育委員会 人権教育指導者育成講座
 
                                    松原七中出張ファシリテーション
 泉南市教育委員会の酒井久也先生からのご依頼で、3時間の研修時間をいただきました。泉南市は、以前から松木正さん主宰のマザー・アース・エデュケーションの方たちが、小学校・中学校に関わっておられます。そういうこともあり、ファシリテーションに関するご理解から3時間という研修を計画していただいたのでしょうか。ファシリテーションについてお伝えし、体験していただこうと思ったら、やはり、3時間の枠組みというものが必要です。
 今回は、そういう時間的な余裕もありましたので、松原七中の教員6名でチームを組んで臨みました。まず、はじめは、「へーぇ。そうなんですか。」を言ってみることから。「松原から6名できました。」「へーぇ」と声をそろえて言ってもらうと、すごく聴いてもらってる感にひたることができます。あまりにも気持ちよかったので、正面に座っておられた赤いラガーシャツを着ておられる先生に体験してもらいました。お話の前に、恵我幼稚園の先生に教えてもらった手遊び、「大阪名物」と「キャベツの中から」を披露しました。
 続いて、お話になります。まず、「これなあに。」ということで、写真を見てもらいました。碁石に見えたり、石けんに見えたりするコンビニでもらえる白いスプーン。ついついコーヒーが入ったコーヒーカップに見えてしまうトイレットペーパー。平行に引かれている直線が、どうしてもガタガタに曲がっている線に見えてしまう絵、など、人間は、往々にして思い込みや錯覚による間違いをおかします。特に思い込みは、子どもたちの発達を阻害してしまうのです。自己開示することで数多くのプラスのフィードバックをまわりからもらい、自分自身の姿を知るという「認知」。あえて、ロールプレイングを通じて、望ましい在り方を考え「行動」することで、好ましい感じ方ができるようになるというプロセス。それを積み上げていくことで、「評価」(感じ方)の仕方が徐々に好ましく変わっていくことを、また、自分で「認知」するという、「認知」「評価」「行動」の三位一体が、人間関係学科のコアであることをお話しました。
 昨年のNHKの大河ドラマ「篤姫」における、描かれていた篤姫の有り様からアサーティブな生き方というものを提示しました。その話が終わるやいなや、子どもたちが入ってきました。いや、体操服は着てますが、どうやら、教員(曽和幸子、高橋俊也、山本啓子、川口剛史)4人のようです。教員のアサーション劇「クラブでもめごと起きちゃった」の始まりです。クラブで準備も何もしない1年生に腹を立てた3年生が、怒って1年生に詰め寄ります。とうとう高橋さんが泣き出してしまいました。そこに現れたのが井上享子先生。井上先生が4人の気持ちを聴いてくれました。そして、アサーションという技法(DESC法)を伝えます。「くりかえす」「共感する」「選択する」「主張する」(*この技法には様々なパターンがあります)の4段階です。すると、不思議にも、攻撃的にもならず、受け身的にもならず、1年生は自主的にピン球やスコアを出しに行ったのです。・・・ここで10分間の休憩
 後半の始まりです。後半のファシリテーションは初任6年目の曽和幸子先生。(現在の松原七中で、人間関係学科の中心にしっかりと位置づいている教員です)まずは、アイスブレーキング3連発。一番手は、今年の初任者の高橋俊也先生。「あとだしジャンケン」です。「ジャンケン ホイ。 ホイ。」と2番目の「ホイ」で皆さんが手を出します。「まず、あいこでいきましょう。」「ジャンケン ホイ」「ホイ」と2番目の「ホイ」が部屋に響きます。見たとおりのものを出せばいいだけですから、テンポ良くそろって出ます。「じゃ、次は勝って下さい。」これも順調。「じゃ、次は負けて下さい。」「ホイ」で挙げる手のタイミングが乱れてきます。ついうっかり勝ってしまう人も・・・。普段は意識して負けるなどということはないので、いつもやっていることと、逆のことをするって、ついとまどってしまいます。最後は、会場から一人出てきてもらって二人対会場のあいこジャンケンです。前の二人が「グー」と「パー」、すると会場は「チョキ」であいこです。前の二人が「グー」と「グー」、すると会場は「グー」です。あくまでも、三者があいこになるパターンで出さなければなりません。これには、会場のテンポが相当乱れてきます。状況判断するって少しハードルが高いですね。ちなみに、この3人あいこジャンケンは、松原七中の現三年生が、「もっとハードルの高いものをしよう。」ということで、子どもたち自身が考え出し、クラスで披露したものです。子どもたちの創造力はたいしたものです。
 アイスブレーキング2番手は、ベテランの山本啓子先生です。「一致団結、ソーレ!」です。「一致団結、ソーレ!」という山本先生のかけ声とともに、手を一回たたきます。次に、手を二回です。五回まで続けます。五回目の最後の「パン!」という音が部屋に鳴り響いた時、何とも言えない爽快感と、そろった感を感じることができるのです。「じゃ、少しハードルをあげて、今度は、逆に五回から一回へと下がっていきます。最後の一回が「パン!」と鳴り響くと、会場から「オーッ」という歓声が出ました。「トラスト・アップ」などの協力して取り組むグループワークのアイスブレーキングに最適です。
 さて、アイスブレーキングの最後をつとめたのは初任2年目の川口先生でした。お題は「そうやねゲーム」です。3つのアイスブレーキングの中では、もっとも力量がいるものだと言えるでしょう。実際、この本番に至るまでに、何回もダメだしをくらっています。いろんな先輩先生の意見やフィードバックをもらって当日をむかえました。例えば「泉南名物はタマネギですね。」という問いかけに、会場の皆さんに「そうやね。」と答えてもらいます。つまり、相手の言っていることを、「そうやね。」という言葉でいったん受けとめてみるという練習です。ですから、「外は雪が降ってますね。」という明らかに事実と異なる問いかけに対しても「そうやね。」と答えてもらうのです。(こういう質問には、笑いが出ますが) つまり、問いかけが「刺激」であるとすれば、その「刺激」に対する「反応」を返す前に、しっかりとスペースを確保するために、「そうやね。」という言葉で相手の言葉を受けとめてみるのです。「刺激」と「反応」のあいだにしっかりとスペースを取ることができれば、自分の中に起こっている感情にも変化がでてきますから、感情をコントロールしながら「反応」するということが可能になるのです。
 アイスブレーキングが終わったところで、グループ分けの作業に入ります。会場には全部で70名ほどおられたので、前もって、5人〜6人で13グループの編成になるように、アニメキャラを使ったくじ引きを入場時に引いてもらっていました。部屋の後から、机を設置しイスを持って移動してもらって13グループの班分けが終了しました。次に、名札づくりです。同じ泉南市の先生方とはいえ、知らない先生同士もおられます。たとえ、知っておられるとしても、その関係性のレベルは多様です。そんな中で、この場で自分のことをどう呼んで欲しいのかを、名札に書き、身体につけてもらいます。呼んで欲しい名前にもすごく個性が表れます。今年は、カタカナの「キャサリン」などという欧米風の名前がめっきりと減っています。何か変化が起こっているのでしょうか。グループの中で、その呼んで欲しい名前の由来を説明しながら自己紹介をします。ファシリテートをしている曽和先生が、その数少ないカタカナ名の「ウッズ」さんを見つけました。すかさず、曽和先生の質問が入ります。「そのウッズさんって、ひょっとして・・・」「そうですウッズです。」と答えていただくやいなや、すかさず、立ち上がってゴルフのフォームを披露していただきました。ノリが非常によろしいようです。
 自己紹介が終了すると、すごろくシート、サイコロ、駒が配られました。自己開示の授業「すごろくトーキング」の模擬です。始めに説明させてもらった「認知」力向上に関わって自己開示の授業は非常に効果があります。子どもたちは、あえて自己紹介をするという場面にめったに遭遇することはありませんし、あったとしても、様々な角度での自己紹介などしません。(これは、大人でも同様なのですが・・・)すごろくトーキングで使用するすごろくシートには、駒が進んでいくにしたがって、レベルの浅いお題から、深いお題へと深化しているのです。もちろん、泉南ネタもいくつか含んだ泉南市バージョンのシートになっているのです。駒も百円ショップでそろえた木製ピンチ(キャラつき)やかわいいマグネットを使用しています。およそ15分間、グループで盛り上がったあとで、曽和先生がふりかえりを始めます。(本来は、一人ひとりがふりかえり、グループや全体でわかちあっていくのですが、時間の都合で、今回はファシリテータがやってしまいます)ふりかえりの観点は、グループでの進行に積極的だったり、あるいは、下ささえをしていたりというグループワークにおける牽引や協力という観点から、見えたこと。次に、介入しなければならないようなことが起こった場合に、ファシリテータがどうしたかというようなことを全体化することが有効であると判断した場合は、その事を。そして、最後にグループで盛り上がった話題があれば、共有化していきます。曽和先生はいくつかの話題を拾い上げていましたが、その中でも、おもしろかったのは、あるグループの先生の「ストレス解消法」でした。他己紹介のかたちで、そのグループの先生から報告してもらったのですが、「夜中に寝言として大声で叫ぶ」ということでした。この話題には場内大うけ。ちなみに、他のグループのいっしょに修学旅行に行かれたという先生から「同じ部屋で寝ていた時『助けて!』と大声で叫んでいた。」という証言まで出てくるしまつでした。
 無事、すごろくトーキングが終了し、本日のすべての予定が終わりました。名札、すごろくの駒、すごろくシートなどは、おみやげとして持って帰ってもらいました。
おわりに・・・・  最後の質疑応答で、ほとんどふれることができなかった、子どもの様子や変容。あるいは、この7年間の研究開発の成果などをしゃべらせてもらいました。松原七中にとっても今回の出張ファシリテーションは実のあるものになりました。松原七中でも、他校と同じように世代交代が急ピッチで進んでいます。次の世代へとつないでいくために今回の泉南でのファシリテーションは良かったと思っています。(F)
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ファシリテーション:深美隆司、曽和幸子、井上享子、山本啓子、川口剛史、高橋俊也