インターネットの活用とホームページづくり

情報機器導入期の手引き
「学び、発信、交流−透明なメディアをめざして」(98年7月発行)より

@「こねっと・プラン」1000校への参加とインターネット接続の実現
 本校では、96年度の夏から、年度内のパソコン42台導入に向けて、「新しい情報教育」の進め方について検討を始めた。その中でインターネットの教育的利用への大きな可能性を見いだすことができたが、残念ながら当初の配置計画の中には、インターネット接続は含まれていなかった。そのため、インターネット接続が実現できないものかと、市教委等と相談を重ねていたが、11月末になり、「こねっと・プラン」への参加が決まり、インターネットの接続・利用が可能になった。
 「こねっと・プラン」は、NTTが中心になり組織した「こねっと・プラン推進協議会」が運営するプロジェクトであり、全国1000校の学校にインターネット接続の財政的・技術的な支援、テレビ会議システム(フェニックス)の設置を行ってくれるものである。
 「こねっと・プラン」への参加を通じて、子どもたちが直接インターネットに触れることができ、教職員もインターネットの教育利用の可能性を体験することができた。何よりも、NTT関係者の技術的な面にとどまらず、こねっと事務局をはじめ多くの方々の支援や協力をを得ることができた。
Aホームページづくりからインターネットでの発信
 42台のパソコンは97年1月から導入が進み、それと平行して、アプリケーションソフトの購入計画づくりを行っていった。2月に入り、インターネットの教育的利用について検討をはじめ、ホームページ作りに取りかかった。以前から教職員の中から「三中のホームページをつくろう」という声があがっていたが、ハードの設置、ソフトの検討という作業を経て、ホームページ作成プロジェクトを2月末に立ち上げることになったのである。
 次のページに、ホームページ開設までの日程を掲載したが、先ず第一に取り組んだのは、コンテンツ作りであった。全国の中学校のホームページの内容を研究し、本校のホームページのめざすものや内容を検討した。ホームページでは、本校の教育改革や地域連携、授業改革の取り組みを紹介するだけでなく、美術科の集団製作等の各教科での子どもたちの作品を積極的に発信していくことをめざした。とりあえず、今までの取り組みをまとめるべく、97年度の1学期の途中から夏休みにかけて作業を進めていった。
 第二の課題は、個人情報保護や学校の教育情報等であり、これについては各地域の違いもあり、難しい状況もあった。しかし、「教育情報ネットワーク」の取り組みが大阪府で進み、「情報発信のガイドライン」作りと併せて、インターネットの教育利用がさらに広がる動きが出てきた。その中で、本校では、市でのガイドライン作りを受け、本校でも情報発信のガイドライン作りを進めた。最後に、生徒の写真・作文・作品の掲載確認等を本人や保護者から得、発信の準備を進めていった。この過程で,PTAに情報発信の積極的、教育的意義を説明し、理解を深めていった。
 第三の課題は、著作権の保護等という問題であった。授業で取り組んでいる内容も、ホームページでの発信となると、難しい点がいくつかあった。それを、校内で一つひとつ具体的に議論し、私たちの認識を深めていった。その後、掲載している関係団体等へ電子メールを送り、発信の同意を得ていった。
 そして、11月22日の「ヒューマンタウンフェスティバル」当日にホームページを実験的に公開し、12月10日に正式に開設した。
【ホームページ作成までの日程】
月  日 内        容
1997年
2月15日
第一回ホームページ作成プロジェクト会議
1:全国の中学校のホームページを研究し、三中のホームページのめざすものについて
  について討議
2:ホームページ作成ソフトの活用と研修
2月24日 第二回ホームページ作成プロジェクト会議
1:三中のホームページのコンテンツ(内容)についての討議
2:個人情報・教育情報等の配慮すべきことについて
3月3日 第三回ホームページ作成プロジェクト会議
ホームページのコンテンツについて
3月8日 第四回ホームページ作成プロジェクト会議
ホームページのコンテンツについて
4月より スタートした情報教育部での定期的な討議でホームペー ジのコンテンツの検討。分担を決め
三中美術館等の作業に取りかかる。府内の学校のホームページについても研究。
夏休み 集中的な作成作業。校内でも検討の場をもっていく。
9月 大阪府教育情報ネットワークがスタート。個人情報や著作権保護について先進的な取り組みを
している学校や関係者の情報をインターネットで収集。情報発信のガイドラインづくりに着手。
10月 校内で情報発信のガイドラインを論議し、提案する。選択履修の前期の取り組みの紹介等、
ホームページほとんど完成する。
10月18日 松原市のガイドラインができる。
10月 写真掲載・作品掲載の承諾書あつめる。
11月22日 ホームページの試験運用が始まる。(ヒューマンタウンフェスティバルで試験的に)
12月10日 本格的にスタートする。
B校内イントラネットの構築等、多様なインターネットの活用
 本校のインターネットの活用は、「こねっと・プラン」参加校として、パソコン1台でのISDN電話回線による接続から始まった。そのため、多くの生徒がパソコンを通して、直接インターネット接続ができるという状況ではなく、96年度は、教職員の教材研究やテレビ会議システムの活用が中心になった。子どもたちに、もっと多くインターネットを体験させるために、97年度1学期には、ソフトによりインターネットからダウンロードという方法を追求した。そして、インターネット疑似体験という形で、すべてのパソコンからのインターネットの活用が可能になった。
 97年度夏休みからパソコンの設置が始まった布忍小学校では、2学期には職員室LANから校内イントラネットの構築が実現した。また、ダイアルアップルーターの採用により、すべてのパソコンからインターネット同時接続が可能になった。早速、本校では、布忍小学校の教職員から指導を受け、職員室LANの実現から校内LANの構築をめざした。ただ、本校の機器等の性能の違いにより、数台のパソコンからのインターネット同時接続が実現できるにとどまった。しかしそれでも授業でのインターネットを広く活用していくことはできるようになった。また、校内WEBの立ち上げも実現することができた。
 98年度に入り、ソフトの購入によりプロキシサーバーを実現させ、ダウンロードしたホームページをすべてのパソコンからストレスを感じることなく接続できるようになったのである。
C本校のインターネットの活用
 本校では、ソフトを活用した授業とともに、インターネットの活用についても様々な取り組みを行ってきた。その活用は、1)情報収集型、2)情報発信型、3)情報交流型の3つに分けることができる。それと共に、教材研究にインターネットを活用することもできる。次の文は、国語科での経験をまとめたものである。
情報が命のインターネット。むろん世界中を最新の情報が流れている宝の宝庫といえるだろう。やはり教育機関のホームページは教師にとってたいへん重宝する。何しろ、いろいろな先生方の指導案が山ほど掲載されている。自分と違った指導に出会ったとき、きっと自分自身の殻が破れ、さらに指導力量が向上することは自分の経験からしてまちがいないと思う。それが、わざわざ研究授業に足を運ばなくても可能なのだから、これを利用しない手はない。しかし、教育専門機関よりもまったく畑違いの人たちが行っている教育関連記事の方がおもしろい。たとえば、2学期に行った「奥の細道」の授業は、これまでよりも、何倍も子どもたち反応がよかった。それは、私がインターネット上で、まったく無作為に「奥の細道」という語のみで検索をかけ、表示されたページを一つ一つ見ていったことによる。実にいろいろな人が旅をしたり、研究をしたりしているものだ。その中の一つからヒントを得て授業を組み立てたところ、私自身が楽しかったし、子どもたちもたいへん楽しむ授業となった。
【本校でのインターネットの活用】
活用の分類       内  容
教材研究 国語 奥の細道
理科 おもしろ実験室
情報収集型 イントラネット 社会科「私たちのまち 松原」
社会科「食べ物データベース」
総合学習「ナガサキに向けて」
リンク集の作成 社会科「日本の地理学習リンク」
サーチエンジン 国語科「ボランティアについて」
進路学習「職業・資格しらべ」
総合学習「地球市民をめざして」
情報発信型 社会科「私たちのまち 松原を紹介しよう」
社会科「食べ物データベース」
社会科「九州地方」
選択履修「西除川マルチメディア探検」
選択履修「私も童話作家」
情報交流型 遠隔共同学習「酸性雨の共同観測」
総合学習「ナガサキに向けて」メールでの交流
福岡県の小学校とのメールでの交流
 情報収集型の授業は、インターネットを通じて調べ学習を行うもので、サーチエンジンを使って、授業のテーマに関するものを調べるものである。図書室や市立図書館の図書(学校貸し出し)を使った調べ学習と平行して取り組んでいる。
 また、98年度には社会科1年で、「九州についてまとめよう」という学習の際には、日本地理学習リンク集を教師で作成し、調べ学習に役立てようとしている。このリンク集は、教師の方でインターネットのサイトを開き、サイトごとに簡単な紹介を試みたものである。また、イントラネットの構築により、校内WEBの立ち上げを行い、子どもたちが作った作品をパソコン教室のすべてのパソコンから見ることが出来るようになった。
Dホームページや電子メールを活用した情報発信と交流
 本校では、ホームページや電子メールを活用して、発信・交流をめざす授業づくりを行っている。情報発信型・情報交流型の活用である。
 たとえば3年生では、ナガサキ修学旅行に向けて、修学旅行の疑似体験として、長崎市や大学、美術館のホームページを自分たちで見、その感想を電子メールで送るという学習に昨年度から2年続けて取り組んでいる。子どもたちは、非核や反核をテーマにしたホームページを通して、その背景にある被爆された方の生活や思いをもっと知りたいと考えていく。そして、被爆された方との実際の出会いにつながっていく。また、電子メールで感想を送ることを通して、ホームページ作成者の思いを知ることになるのである。インターネットの新しい世界の広がりを知るのである。これは教師も同じである。
 また、社会科では、97年度1学期に「私たちのまち、松原をホームページで紹介しよう」、98年度1学期には「九州レポートづくり」等、インターネットで発信することを目標に取り組んだ。その後、この学習は、テレビ会議システムを通した、三重県の阿田和中学校との地理の交流学習へと発展していったのである。 
Eテレビ会議システム(フェニックス)の活用
 最後に、テレビ会議システムを活用した遠隔共同学習について紹介をしたい。本校のテレビ会議システムは、「こねっと・プラン」参加校として寄付されたものであるが、今後のパソコンを通した発信・交流活動に一定の影響をもつと考えるので、本校の活用についてまとめておきたい。
【本校のテレビ会議システムの活用】
年月日 本校の対象 交流のテーマ
交流相手校・交流相手
1997年
1月26日
保護者体験授業 雪国の生活
北海道北広島市立広葉中学校
12月1日 1年パソコン委員会 「世界子ども環境サミット97」
NTT大阪南支店主催セミナー
1 月18日 保護者体験授業 長野オリンピックに向けてNTT長野支店
1998年
2 月2日
1年パソコン委員
黒柳徹子さんへの質問者
ユニセフの親善交流活動
黒柳徹子さん(こねっと・セミナー)
2 月23日 社会科
1年5組
地理交流学習(大阪の紹介)
三重県御浜町阿田和中学校1年
2 月25日 2年選択履修
「私も絵本作家」のコース
地域の方と絵本を楽しもう
中央小・布忍小5年生
2 月27日 本校情報教育部 本校の情報教育について
山口市教育工学研究会
5 月14日 選択履修 英会話 こねっと協賛企画 英語で話そう
6 月5日 社会科
1年3組
九州地方の地理学習に向けて
福岡県飯塚市立幸袋中学校1年生
6 月18日 英語科
1年5組
英語で紹介しよう
福岡県飯塚市立幸袋中学校1年生
 学習や授業で用いた場合は、遠く距離の離れたところを結びつけてくれるということで、生徒の反応はたいへんよかった。情報機器の最先端ということで、子どもたちの関心も大変高い。これから電子メールやインターネットの活用と併せ、遠隔共同学習には欠かせぬものになるのではないか。
 もちろん準備が必要である。出会うまでに、内容をどう深めていくのかということである。ただ遠いというだけでは、交流は深まらない。共同学習のテーマについての、教師どうしの事前の打ち合わせや、子どもの学習が必要である。たとえ、相手校からの呼びかけであっても、こちら側の子どもたちの期待や問題意識を育てていくことが大切である。また、表現力やコミュニケーション力の育成も大切であるが、交流する際のエチケット、いわゆるネチケットも意識させていく指導も必要である。
 ここでは、2月に行った三重県の阿田和中学校との交流の様子を簡単に紹介するので、読んでいただきたい。
 先ず、三重県御浜町立阿田和中学校の1年生から、御浜町が「年中みかんのとれる町」として知られていることや、漁業についての説明があった。本校の生徒たちは、質問された阪神工業地帯、関西国際空港、大阪のたこ焼きなどについて説明をした。最後に、それぞれの中学生が方言を紹介した。子どもたちは、質問に応えるために、図書館の本やインターネットを使って調べた。交流という目的があるので、調べたり、結果をパソコンで打ったりすることに、意欲的に取り組んだのであった。交流の時には、発言する子どもたちはたいへん緊張していたが、方言の交流になると、日頃何気なく使っている言葉が大変違うことでたいへん驚いていたのである。三重県の中学校からは、「みかん」(たいへん種類が多い)や近海でとれた「さんま」を見せてもらい、実物にふれる地理学習として、子どもたちが学んだものは多かった。また、子どもたちが身近な大阪のことを説明するために、多くのことを勉強しなければならなかった。すでに学んだ内容でも、遠く離れた相手に説明することの難しさを実感した。ことばの知識ではなく、具体的なものとして知っていなければ説明できないのである。
Fインターネット活用、光と影への対応
インターネットを使って何を発信していくのか、ホームページ作りを通して子どもたちに考えさせてきた。今後、子どもたちにインターネットの光の部分(情報の科学的理解)と、同時に影の影響を教えていく必要がある。学習の内容として、情報モラルやマナー、著作権、個人情報の保護とプライバシーの尊重等の課題があり、今後、2、3年生での学習課題として取り組んでいく必要がある。