総合的学習最前線 
学校の創意工夫に学ぶ
 中央教育審議会の第一次答申で、子どもたちに「生きる力」を育むために、小・中・高校に「総合的な学習の時間」(仮称)を導入、学校の創意工夫を生かし、児童生徒の興味関心等に基づいて国際理解、情報、環境、福祉などについての教科横断的・総合的な学習を推進するように提言された。
 これを踏まえ、教育課程審議会はその在り方を検討しているが、これまでに基本方向が固まった。10月末にも予定の「中間まとめ」に向けて、細部の検討を残してはいるが、次の構想の大筋は動かない。
教科審の基本方向
【教育課程上の位置づけ】
 小・中学校では、教科の枠にとらわれた指導にならないようにするとともに、教師の協力的な取り組みを行いやすくするため、教科以外の教育活動として各学年に位置づける。ただし、小学校は、低学年で総合的な教科の生活科が設定されていることや生活科を中核とした他教科との合科的な指導が進められていることなどを考慮。第三学年以上に設定する方向で検討する。
 高校でも必修とするが、高校が単位制による教育課程であり、この時間の学習成果を単位として認定することが適切と考えられることなども考慮。位置づけをさらに検討する。
【ねらい】
教科横断的・総合的な学習を通じて、自ら課題を見つけ、よりよく解決する資質や能力の育成を重視し、自らの興味・関心に基づき、ゆとりをもって課題解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度の育成を図る。また、知的内容を教え込むのではなく、情報の集め方、調べ方、まとめ方、報告や発表・討論の仕方などの学び方やものの考え方の習得を重視し、主体的な学習を推進するとともに、各教科等で学習した知識や技能を児童生徒の中で総合化することをねらいとする。
【学習活動】
 国際理解、情報、環境、福祉などの教科横断的な課題を中心に学習する。その際、実体験や調査活動などの体験的な学習、問題解決的な学習を重視する。高校では、生徒の興味・関心等に応じ多様な課題についての学習ができるよう配慮する。
 また、学習活動は、各学校が創意工夫を十分に発揮して展開するようにする。その際、ある時期に集中的に行うなど、この時間が弾力的に設定できるようにするとともに、グループ学習や異年齢集団による学習など多様な学習形態や、異なる教科の教師間のティームティーチング、外部の人材活用など指導体制を工夫することを考慮する。
【授業時数等】
多様な学習活動が展開できるようにすること、ある程度まとまった時間が必要であること、各教科等の授業時間数を確保すること、各学校で円滑に実施されるようにすることなどを考慮し、小・中学校では、各学年年間70単位時間(週当たり2単位時間)以上の時間を配当することが適当だが、具体的な授業時数はさらに検討。高校については、その位置づけを踏まえさらに検討する。
【評価】
通常の評価と同じ評価は行わない。教科以外とする場合は、活動への参加状況や参加意欲を評価し、教科とする場合に絶対評価とするなど工夫する。
【具体的なイメージ例】
さらに教課審では、学習活動例として、次のような活動をイメージしている。
◇ 小学校=外国人との交流、外国語や外国の生活・文化に触れ、親しむ活動▽お絵かきソフトやワープロソフトなどを使った様々な表現活動▽地域の調査活動を行い、国内の学校とインターネットなどを活用して情報交換
◇ 中・高校=環境問題を中心に、世界の国々とインターネットを活用して交流
◇ 中学校=我が国と諸外国との生活とマナー、行事などの比較研究◇実体験を通して社会福祉や高齢化問題について考える活動
◇ 高校=自らの進路希望に応じた課題を設定、よりよき社会人となるための自覚を促すような学習活動
今回の教育課程改訂の目玉である「総合的学習の時間」に対して、学校の創意工夫を生かしたダイナミックな教育展開、教師の意識改革はもちろん、これが教育課程の弾力化など地方分権や規制緩和につながるとする期待は強い。次回から、各地の総合的学習の実践校の先導的取り組みを紹介していく。
「日本教育新聞」(関西版)(1997年10月11日)より